公開日 2021年01月26日(Tue)
昨日は機械科の懈怠研究発表会がありました。
本日は
『足踏み式消毒スタンド』
の制作について紹介します。
<年間の活動内容>
一学期は主にテーマについて話し合いました。
テーマが決まるまで,かなり時間がかかりましたが,自分たちの納得いく意見にまとまったので,9月以降,スムーズに進めることができました。
<研究内容の設定>
- 機械科で学習してきた内容を活かしたものづくりがしたい
- 学校に残るもの,人の役に立つもの,使ってもらえるものを作りたい
- 地域貢献にも繋がる内容にしたい
担当の先生のアドバイスも加わった結果,
新型コロナウィルス感染症防止のための
「足踏み式消毒スタンド」
を作製しようということにまとまりました。
<従来の消毒ポンプの問題点>
- 直接ポンプに触れるため,衛生面で心配
- 片手で受けるため消毒液がこぼれやすい
- 市販されているスタンドは高額
以上のことから,一般に販売されている消毒スタンドを参考に製作開始。
<スタンド設計コンセプト>
- 身長の高い人から低い人まで使いやすい高さになるようにする。
- 部品数が多く,構造が複雑になると製作や補修に時間と手間がかかるため,バネやゴムを使用しない簡単な構造を目指す。
- 見た目にもこだわり,頑丈で大きなものだと使用する人へ余計な圧迫感を与えてしまうので,なるべくシンプルなデザインになるようにする。
- いろいろな形のポンプに対応できるようにする。
一号機は,保健室に設置して使ってもらっています。
あらゆるポンプの大きさに対応するために,ポンプを設置する台を可動式にしました。
台はボルトと蝶ナットで支柱に固定します。
消毒スタンド本体には,バネやゴムを使用せず,ポンプに内蔵されているバネの力を利用して,踏み込んだペダルが元に戻る機構にしました。
大きく分けて6つの部品からできていますが,組み立ては,耐久性を考えて,ステンレス製のボルトとナットを使用しました。
消毒ボトルの固定は,100円ショップで販売されているマジックテープを採用しています。
<問題点の検討と改良>
安定性に不安があったので,座面を2.5倍ほどの面積に増やし,裏には傷防止と滑り防止のために,フェルトでできたシートを貼り付けました。
ポンプを設置する台の面積が大きく,無駄を感じたので少し小さくしました。また強度を上げるために,鉄板の厚さを少し厚くしました。
<製作風景>
- 『シャー』という機械で,鉄板を所定の大きさに切り取っていきます。
- 『帯のこ盤』という機械で所定の長さに切ります。
- 『立てフライス盤』とエンドミルで,スタンドの支柱に溝を作っていきます。
- フライス盤で削った後は,丁寧にヤスリをかけて,バリを取りました。
- 『両頭研削盤』で角を落とす,面取り加工を行いました。
- 所定の場所に『ボール盤』で穴を空けます。
- 『油圧式曲げ機』で鉄板を90度に曲げる加工をしました。
- 各パーツができたら,白の油性塗料で丁寧に塗装します。
- 塗料が乾いたらパーツクリーナーで表面の汚れを拭き取り,組み立てます。
- ボルトが簡単に緩んでしまわないように,きつく確実にしめるようにしました。
- 仕上げに床との接地面には滑り止めを貼ります。
完成!!
<校内設置と寄贈>
製作した足踏み式消毒スタンドは,試作品を合わせると全部で20台を超えました。
そのうち7台ほど学校内に設置しました。
また,学校外でも地域の学校や保育園,病院などにも1台づつ寄贈させて頂きました。
特に,子ども用の小さなスタンドは,一般的には販売されていないため,保育園の先生方から大変好評でした。
また,学校医の大庭医院や奥歯科にも設置させて頂き,病院を利用する地域の方にも使用していただいてます。
課題研究の目標の一つである地域貢献につなげることができました。